「オトナのタイムトライアルができるまで」
「草の根レース」と「トラック〝も〟走ろう」
このふたつが<オトナのタイムトライアル>の合言葉です。
小説家でもあり、ランナーでもある村上春樹さんがこんなことをおっしゃってます。
「アメリカに住んでいると、毎週のようにそのへんでレースがあるんですよ。地元のクラブやコミュニティが主催していて、出場者も200人とかそれくらい。そういう身近なレースが日本にはあまりないですね」
そして、こんな提案をされています。
「みんなビックレースに目が行っちゃうけど、もっと草の根レースを大事にするというか、自分たちの手作りレースを考えてもいいんじゃないかな」
(ともに『Number DO April 2011 「そうだ、ランナー村上さんに聞いてみよう」』より)
この言葉に触発され、走ることが好きな仲間たちで「理想の手作りレース」について考えてみました。
いろんな意見が出ました。
「素人でも頑張れば運営ができそうで」
「交通の便もいい身近な場所で」
「初心者も、上級者も気軽に参加できて」
「それでいて、本気で走りたくなるようなレース」
全てを満たそうとするとお金や人員、なによりも準備にとても時間がかかりそうです。仕事をしている僕らには色々とハードルが高い。
「やっぱり日本では難しいのか……」
と、頭を抱えていたら、一人の元陸上部出身ランナーがいいました。
「それ、トラックレースならできるかもよ」
いまの日本には、フル、ハーフ、10㎞、そして駅伝と〝ロード〟の数えられないほど大会がたくさんあり、多くの方が走っています。
でも、タータンの上を走る〝トラック〟のレースは少ない。「トラックはプロが走る場所」という意識や、体育の授業で走った1500mにつきまとう「苦しい」というイメージがランナーの方々にもあるのかもしれせん。
でもでも、トラックだって楽しいんです! 一緒に走る選手との駆け引きがあったり、1周ごとのラップタイムの変化を味わえるし、何よりオリンピックに出るランナーや箱根駅伝の選手のように「自己ベスト」が持てるんです。
「5000mのベスト、17分台です」
こんな風に言ってみたくありませんか?
大会を運営するという立場からも、競技場で開催するということで色々な面倒くさいことからも解放されます。おまわりさんの許可も必要ありません。そして運営費を調べてみても、ちょっといいランチバイキングを食べるくらいのエントリーフィーで運営もできそう。「それだ!」と、話はとんとんとすすみました。
2013年7月21日、日曜日、夕刻。
梅雨があけた夏の夜、代々木公園の横にある本格的な陸上競技場「織田フィールド」を貸し切って5000mのタイムトライアルレースができることになりました。
手作り感満載で、突っ込みどころもあるかと思いますがそこも含めて一緒に楽しみましょう。
みなさまのご参加お待ちしております。